痔ろう、肛門周囲膿瘍について
肛門周囲膿瘍とは
肛門には「肛門陰窩(こうもんいんか)」という小さなくぼみがあります。激しい下痢などをきっかけに、このくぼみに便が入り込むと、細菌感染を起こして膿がたまることがあります。これが肛門周囲膿瘍です。
肛門周囲に膿がたまると、以下のような症状があらわれます。
- 肛門周囲の強い腫れや熱感
- 拍動するような鋭い痛み
- 座る・歩くなどの日常動作が辛くなる
痔ろうとは
痔ろうは、肛門周囲膿瘍という感染症が進行した結果として起こる病気です。肛門周囲の感染症(肛門周囲膿瘍)が進行すると、直腸と皮膚をつなぐ膿のトンネルが形成(痔ろう・あな痔)されます。
痔ろうができると、膿の出口から分泌物が出るため、下着が汚れたり、かゆみや皮膚のかぶれなどの不快な症状があらわれます。
痔ろうのトンネルは放置すると内部で枝分かれして複雑化し、治療が難しくなることがあります。また、長期間の慢性炎症によって、まれにがん化するリスクも指摘されています。そのため、早期に適切な手術を受けることが重要です。
肛門周囲膿瘍から
痔ろうになるのを防ぐには?
早期に適切な処置を受けることで、痔ろうの形成を防ぐことができます。当院では、肛門周囲膿瘍の排膿処置にも対応していますので、肛門周囲に腫れや強い痛みがある場合は、自己判断せずに早めにご相談ください。
膿を排出する処置を行うと、炎症が広がるのを防ぎ、痔ろうの発生リスクを減らせます。しかし、排膿後も再感染の可能性があるため、定期的に経過を確認することが重要です。また、便秘や下痢の予防、肛門周囲の清潔保持、適度な運動なども再発防止に役立ちます。
痔ろうになってしまったら?

痔ろうは自然に治ることはない病気です。放置すると膿がたまり、痛みや腫れが慢性的に続くようになります。また、内部のトンネル状の通路(瘻管)が枝分かれして複雑化すると、手術も難しくなります。さらに注意が必要なのは、長期間の慢性炎症によって、まれにがん化する可能性があることです。こうした理由から、痔ろうは早期発見・早期治療がとても重要です。
痔ろうはデリケートな部位の病気であるため、受診をためらったり、お一人で悩んでしまう方も少なくありません。当院では、患者様の気持ちに寄り添いながら、安心して治療に臨める環境を整えています。気になる症状があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
痔ろうの治療
痔ろうが悪化すると、トンネル状の通路(瘻管)が肛門括約筋まで達し、筋肉が損傷すると肛門を締める力が弱くなることがあります。こうした合併症を防ぐためにも、できるだけ早い段階での手術が望ましいとされています。
当院では、瘻管の位置や深さ、広がりを詳しく確認した上で、患者様に最適な手術方法を提案しています。日帰り手術にも対応しており、より高度な治療が必要な場合には、専門医療機関への紹介も行っています。
瘻管切開開放術(lay open法)
肛門の後方にできた単純痔ろうに適用されます。肛門括約筋への影響が少ない場合に行われる手術で、瘻管を切開して縫合せずに開放し、自然に治るのを促します。
括約筋温存術(くりぬき法)
肛門括約筋を温存しながら、瘻管のみを取り除く方法です。
瘻管切開開放術と
括約筋温存術(くりぬき法)の
組み合わせ
痔ろうの形状や深さによっては、両方の手術を組み合わせることもあります。肛門括約筋の外側を温存し、括約筋にまたがる部分のみを切開・縫合することで、複雑な痔ろうにも対応できます。
シートン法
複雑な痔ろうや、括約筋をまたぐ痔ろうに対して行われる手術法です。瘻管に細いゴムや糸を通し、少しずつ締めることで段階的に瘻管と括約筋を治していきます。治療期間は数ヶ月要し、1〜2週間ごとに締め直しを行う必要がありますが、括約筋への損傷を最小限に抑えられるメリットがあります。ただし、締め直しの際に痛みや違和感が生じることもあります。
痔ろうの日帰り手術の費用
手術費用は、痔ろうの重症度や選択される手術方法、麻酔の種類などによって異なります。以下は保険診療による日帰り手術時のおおよその目安です。
| 1割負担 | 3割負担 | |
|---|---|---|
| 肛門周囲膿瘍 | 約4,000円 | 約12,000円 |
| 単純痔ろう | 約6,700円 | 約20,000円 |