- 胆のうポリープと指摘された方へ
- 胆のうポリープは自然に消える?
- 胆のうポリープは経過観察で大丈夫?
- 胆のうポリープが悪性になる確率は?
- 胆のうがんについて
- 胆のうポリープの手術が必要な場合
- 胆のうポリープの手術の特長
- 胆のうポリープの手術後の注意点
胆のうポリープと指摘された方へ
胆のうポリープとは?
胆のうポリープとは、胆のうの内側の粘膜にできる小さなできもののことを指します。ほとんどの場合は良性で、特に多いのが「コレステロールポリープ」です。全体の約90%を占めると言われており、胆汁中のコレステロールが粘膜にたまってできるものです。
大きさは数mm程度と小さく、複数できることもあります。10mm(1cm)以上に大きくなることはまれで、多くの場合は自覚症状がありません。健康診断や腹部の超音波検査で偶然見つかることがほとんどです。
ただし、胆のうポリープはすべてが良性というわけではありません。注意が必要な場合もあります。たとえば「腺腫性ポリープ」の場合、通常は良性ですが、一部では将来的にがんに変わる可能性が報告されています。また、ごくまれに、胆のうがん(※)の初期がポリープのように見つかることもあります。
必ず自己判断せず、『放置して良いものか』を専門医が診断しますので、一度ご相談ください。
しかし、ポリープが見つかったからといって、すぐに心配する必要はありません。画像検査だけでは良性か悪性かを完全に判断することはできませんが、ポリープの大きさや形、数などを総合的に見て判断することができます。
※確定診断は手術し組織検査しないと診断できません。
胆のうポリープの種類
胆のうポリープにはいくつか種類があり、それぞれ特徴があります。
コレステロールポリープ
最もよく見られるタイプで、全体の約9割を占めます。良性のポリープで、大きくなることはまれです。
炎症性ポリープ
胆のうの粘膜が慢性的に炎症を起こすことでできるポリープです。こちらも良性で、症状が出ることは少ないです。
過形成ポリープ
粘膜細胞が増えすぎてできるポリープです。基本的には良性で、特に治療の必要はないことが多いです。
腺腫性ポリープ
良性の腫瘍に分類されますが、まれに将来的に胆のうがんに進む可能性が報告されています。そのため、経過観察が必要になることがあります。
胆のうがん(※)
胆のうにできる悪性の腫瘍です。ポリープのように見える場合もありますが、非常にまれです。
胆のうポリープは自然に消える?
特に「コレステロールポリープ」の場合、経過観察の中で自然に小さくなったり、消えることもあります。これは、ポリープが胆のうの内側から剥がれて、胆汁と一緒に体外へ排出されることがあるためです。
ただし、すべてのポリープが自然に消えるわけではありません。また、悪性の可能性を完全に否定することもできません。そのため、症状がなくても、定期的に超音波などの画像検査でポリープの大きさや変化を確認することが大切です。
胆のうポリープは
経過観察だけで大丈夫?
胆のうポリープが見つかっても、すぐに手術が必要になるわけではありません。ほとんどのポリープは良性で、定期的な検査による経過観察が基本です。
胆のうポリープの定期検査の目安
- 5mm以下の小さなポリープの場合:1年に1回
- 10mm未満のポリープの場合:半年ごと
ポリープの大きさや成長のスピードを見ながら、医師が総合的に判断し、必要に応じて手術などの対応を検討します。
胆のうポリープ経過観察中の
生活について
生活習慣がポリープの形成に影響する可能性があります。特に、以下の点に注意するよう心がけましょう。
- 動物性脂肪の多い食事(卵、バター、チーズなど)を控える
- 甘いお菓子やアルコールの摂取を控える
- 適度な運動を心がける
胆のうポリープが
悪性になる確率は?
胆のうポリープのほとんどは良性で、悪性(胆のうがん)に進行するケースは非常にまれです。実際には、ポリープ全体の数パーセント程度しか悪性になることはありません。
しかし、大きさが「10mmを超えるポリープ」では約4人に1人の割合で胆のうがんの可能性があると報告されています。この場合、CTやMRIといったより詳細な画像検査によって評価を行い、状況によっては手術を含めた治療方針を検討することになります。精密検査が必要な場合は、専門の医療機関を紹介いたします。手術自体は当院で実施することが可能です。
胆のうがんについて
早期で見つかれば予後良好
ステージ2から不良
胆のうがんは、進行すると治療が難しいがんの一つとして知られています。しかし、早期(ステージ0〜I)の段階で見つかれば、5年生存率は90%以上と、完治が十分に期待できる病気でもあります。胆のうがんの治療は早期であっても、早期胃がんや早期大腸がんのように内視鏡治療で治療することはできません。早期胆のうがんの治療は手術によりのみ治療可能です。
一方で、進行してしまうと生存率は急激に低下します。予後の悪さは膵がんに次ぐ悪さです。胆のうは「沈黙の臓器」とも呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。
だからこそ、症状がないうちから、胆のうポリープや胆石の定期的な経過観察を行い、「がんになる前の段階」や「ごく初期の段階」で発見し治療(手術)することが何より重要です。
胆のうがんのステージ別
5年生存率
以下は、診断されたステージ(病期)ごとの5年生存率のデータです。ステージI(早期)とステージIV(進行がん)では、予後に大きな差があることがわかります。
| 5年生存率 | |
|---|---|
| ステージ1 | 93% |
| ステージ2 | 69% |
| ステージ3 | 23% |
| ステージ4 | 2% |
部位別では膵がんに次ぐ予後の悪さです。

出典
- 国立がん研究センターがん対策情報センター「院内がん登録生存率集計結果(2013-2014年診断例)」
- 厚生労働省「『2016 年全国がん登録生存率報告』の結果について
胆のうポリープの手術が
必要な場合
以下に当てはまる場合には、腹腔鏡による胆のう摘出手術を検討することがあります。
サイズが10mm(1cm)以上の場合
ポリープの大きさが10mm(1cm)を超える場合は、悪性の可能性を否定できないため、欧米の診療ガイドラインでも摘出が推奨されています。
広基性(茎がないタイプ)の場合
ポリープが胆のうの壁にべったりくっついているタイプです。小さくても見た目だけで良性か悪性かの判断は難しいため、切除して病理検査で確認することが望ましいです。
短期間で急速に大きくなっている場合
半年〜1年で2mm以上大きくなるなど、急速に成長している場合は、がん化リスクを考えて早めの手術を検討します。
胆石を合併している場合
ポリープと胆石が同時にあると、炎症などでがんの評価が難しくなることがあります。そのため、リスクをまとめて取り除く目的で手術が行われることがあります。
ご高齢の患者様の場合
60歳以上の方では、ポリープが小さくてもがんになる確率がやや高くなるとされ、早めに摘出を検討することもあります。
これらの所見が認められる場合は、担当医と十分な相談を行った上で、「腹腔鏡下胆のう摘出術」(腹部に数箇所の小さな穴を開けて胆のうを摘出する手術)が選択肢となります。
胆のうを切除することで、ポリープの性状を病理学的に正確に評価でき、万が一、がんであっても早期であれば根治が可能です。術後に大きな日常生活の支障が出ることはほとんどなく、体への負担も最小限で済みます。
胆のうポリープの手術の特長
手術経験豊富な院長と麻酔科医の連携
院長はこれまでに1000例以上の手術を担当しており、確かな経験に基づいた安全な治療を提供しています。また、麻酔科医も専門医が担当しており、全身麻酔は神経ブロック注射と組み合わせることで術中の痛みをしっかり抑え、手術後の回復をスムーズにします。
胆のうは院長の専門分野でもあります。手術を安心して受けていただけるよう、より丁寧な説明と、的確な手術適応の判断を行います。手術についても緻密かつ迅速、傷への負担も配慮した、最適な手術を提供いたします。
体への負担が少ない単孔式腹腔鏡手術
当院では、胆のうに対する治療として、身体への負担が少ない「単孔式腹腔鏡手術」を採用しています。この手術法では、おへその部分に約2cmの小さな切開を加え、そこから特殊な器具を挿入して、胆石ができる原因である胆のうごと摘出します。さらに、右脇腹には2㎜程度の極めて小さな穴を開けるのみで、従来の複数孔手術と比較して傷跡が少なく、術後の回復も早いのが特長です。この高度な手技は、専門的な知識と豊富な経験を持つ院長が担当いたしますので、安心してお任せください。
入院不要・日帰りでの手術が可能
炎症の無い状態における胆のうの手術は当院にて日帰り手術で対応できます。入院費用がかからず、生活や仕事への影響も最小限に抑えられます。また、健康保険が適用されるほか、高額療養費制度の利用も可能なため、費用面の負担をできるだけ抑えることができます。費用について不安のある方は、事前の診察時にお気軽にご相談ください。
日帰り手術が困難な方
手術時点で炎症がある場合、日帰り手術は対応できません。また慢性的に胆石発作を繰り返している方や、直近に胆嚢炎などを起こした方は炎症が予想されますので、同様に対応できません。胆嚢炎を起こしても落ち着いている状態が数ヶ月続いている場合は適応になることもございます。検査をして適応を判断しますので、まずは一度ご相談ください。
術式の検討が必要な方
胆のうポリープは基本的には胆のう結石症と同じ手術で問題ないことが多いですが、胆のうポリープが悪性の可能性が少しでも高いと想定した場合は、以下のように術式が異なってきます。
- 胆のう全層切除術(胆のうの肝臓と接している部位で、より肝臓側での剥離を行います)
- 肝床切除術(胆のうと接している肝臓を一部切除します。)
もし術前の画像・臨床的診断で、②の手術(肝床切除術)が必要と判断した場合は、日帰り手術対応しかねますので、対応できる専門医療機関へ紹介させて頂くこともあります。このように、胆のうポリープも状態によっては慎重な適応の判断を要しますので、すぐに手術できないこともございます。ご了承ください。
胆のうポリープの手術後の注意点
胆のうは、肝臓で作られた胆汁を一時的にためる臓器です。胆のうを摘出しても、胆汁そのものは肝臓で作られるため、消化機能が大きく失われることはありません。ただし、脂肪の消化にわずかな影響が出ることがあります。手術直後に脂っこい食事を摂ると、軟便や下痢が起こることがあるため、しばらくは脂肪分を控えめにした食事を心がけましょう。徐々に体が慣れてくると、普段通りの食事にも戻すことができます。
胆のうポリープと診断され、不安な方は一度当院までご相談ください。