TOP

鼠径部にしこりができる病気 Groin Lump

足の付け根(鼠径部)にしこりができる原因は何?

鼠径部鼠径部(そけいぶ)は、足の付け根のあたりのことで、ここには、腹部や股関節を支える靭帯と、血液を運ぶ動脈や静脈、体の老廃物や免疫を管理するリンパ管、感覚や運動を伝える神経が通っています。もし、この部分にしこりやふくらみ、違和感があらわれた場合は、何らかの病気の可能性があるので、早めに診察を受けることが大切です。

鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニアは、腸などの腹部の臓器が足の付け根付近(鼠径部)から皮膚の下に飛び出し、外から見るとふくらみとしてあらわれる病気です。立っているときやお腹に力を入れたときに目立ち、横になると自然に引っ込んだり、手で押すと戻ったりするのが特徴です。

初期には違和感や軽い痛み程度ですが、放置すると飛び出した内臓が元に戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態になることがあります。嵌頓が起こると、激しい痛みに加えて、内臓の血流が遮断され壊死したり、腸閉塞を引き起こす危険性もあります。

大人の場合は、加齢や腹圧の上昇により、鼠径部の腹壁が弱くなってヘルニアが発生します。重い物を持つ、長時間いきむなどの動作が誘因になることが多く、元々この部位は構造的に弱いのが特徴です。一方、子どもの鼠径ヘルニアは、生まれつき腹膜の一部が閉じきっていないことが原因となる先天性のものです。

鼠径ヘルニアの治療

鼠径ヘルニアは、自然に治癒することはなく、治療には手術が必要です。腹壁にできた穴を塞ぐために、メッシュ状の人工シートを用いて弱くなった部分を補強する方法が主流となっています。

詳しくはこちら

鼠径部リンパ節腫大

鼠径部リンパ節腫大とは、足の付け根にあるリンパ節が通常よりも大きく腫れて、手で触れるほどになる状態です。通常は数ミリ程度のリンパ節が、1cm以上に腫れることが多く、痛みを伴う場合もあれば、無痛のこともあります。

主な原因は感染症による免疫反応ですが、関節リウマチなどの膠原病や、がんなどの悪性疾患が関与することもあります。特に、膠原病の治療に使われる免疫抑制剤の影響で腫れるケースもあり、背景疾患との関連を考慮する必要があります。

鼠径部リンパ節腫大の治療

感染が原因であれば、原疾患の改善とともに自然に腫れが引くことが多く、経過観察で対応可能です。一方、腫瘍や膠原病が関係している場合には、専門的な検査と治療が必要です。膠原病治療薬を使用中にリンパ節の腫れが出現した場合は、速やかに主治医へ相談してください。

鼠径部皮下腫瘍・鼠径部皮下膿瘍

鼠径部皮下腫瘍とは、足の付け根の皮膚の下にしこりが生じる良性腫瘍で、痛みは少なく、丸く盛り上がっていたり、触れるとゴロゴロとした感触があります。代表的な原因としては、粉瘤(皮膚の内側に老廃物が溜まったもの)や、石灰化上皮腫、脂肪腫などがあり、いずれも良性の腫瘍です。

一方、鼠径部皮下膿瘍は、膿が皮膚の下に溜まった状態で、赤く腫れて熱を持ち、強い痛みを伴うのが特徴です。主な原因は、化膿性汗腺炎などの炎症疾患です。

鼠径部皮下腫瘍・鼠径部皮下膿瘍の治療

基本的に外科的に切除または摘出を行い、必要に応じて病理検査で性状を確認します。膿瘍の場合、軽度であれば抗菌薬による治療で改善が期待できますが、重症化している場合には、膿を排出したうえで外科的に患部を切除する処置が必要となります。

大伏在静脈瘤

大伏在静脈瘤は、太ももからふくらはぎの内側を走る大伏在静脈に、こぶ状のふくらみがあらわれる下肢静脈瘤の一種です。足の血管が浮き出て見えるほか、足のだるさ、むくみ、こむら返りといった症状を伴います。進行すると、皮膚の炎症や出血、潰瘍を引き起こす場合もあります。

原因としては、長時間の立ち仕事や肥満、妊娠などにより静脈内の圧が上がること、また加齢によってふくらはぎの筋力が衰え、血液を心臓に戻す静脈弁の機能が低下することが挙げられます。その結果、血液が逆流し、血管が拡張して静脈瘤が生じます。

大伏在静脈瘤の治療

初期には弾性ストッキングの着用や生活習慣の見直しによる保存療法が行われますが、進行例では医療介入が必要です。血管を焼灼するレーザー・高周波による血管内治療や、拡張した静脈を外科的に切除する手術が行われ、症状の改善と再発予防を図ります。治療が必要な場合は、専門の医療機関を紹介いたします。

ヌック管水腫

ヌック管水腫は、女性特有の鼠径部に存在する「ヌック管」に液体が溜まり、ふくらみとしてあらわれる病気です。鼠径ヘルニアとよく似た見た目を示すため区別が難しく、痛みが生じることもあります。まれに、異所性子宮内膜症や鼠径ヘルニアと合併しているケースもあります。

原因は、胎児期に形成される腹膜の一部(ヌック管)が、生後に自然に閉じずに残ってしまうことによります。その空間に体液が溜まることで水腫が形成されます。

ヌック管水腫の治療

自然治癒は期待できないため、手術による切除が必要です。摘出した水腫には、まれに子宮内膜の組織が混在していることがあるため、病理検査を通じて正確な診断を行います。より専門的な検査や治療が必要な場合は、専門の医療機関を紹介いたします。

粉瘤・脂肪腫

粉瘤(アテローム)は皮膚の内側に袋状の構造ができ、そこに皮脂や角質などの老廃物が溜まって形成される良性腫瘍です。中央に小さな開口部があり、そこから悪臭のある内容物が出ることもあります。脂肪腫は皮膚の下にできる柔らかい脂肪の塊で、通常は痛みを伴わず、ゆっくりと大きくなります。

いずれも明確な原因は不明ですが、粉瘤はニキビや傷などから発生することがあります。なお、精索(睾丸と体をつなぐ構造)に発生する「精索脂肪腫」は、鼠径ヘルニアと同時にみられることもあります。

粉瘤・脂肪腫の治療

小さく症状のない場合は経過観察で問題ありませんが、感染を起こしたり、大きくなって目立つようになった場合には、外科的に摘出します。

足の付け根(鼠径部)のしこりが
気になったときの受診の目安

  • 足の付け根にしこりや膨らみがあり
  • 押すと引っ込む
  • 立っていると膨らむ、横になると目立たなくなる

といった症状がある場合は、「鼠径ヘルニア」の可能性があります。痛みの有無には個人差があり、痛みを感じない方もいます。

また、「リンパ節の腫れ」によっても、しこりが触れることがあります。押すと痛む、赤く腫れる、発熱を伴う場合は、ウイルス性の感染症が疑われます。さらに、「粉瘤(アテローム)」が細菌感染を起こすと、熱をもって赤く腫れ、急に大きくなることがあります。

  • 痛みはあるがしこりはない
  • しこりはあるが痛みはない
  • 全身に倦怠感がある、脈打つようなしこりがある

といった場合は、他の病気の可能性もあります。

足の付け根のしこりや痛みの原因は、鼠径ヘルニアや類似の病気、リンパ節の腫れ、血管のこぶ、腫瘍など多岐にわたります。しこりが小さく(1cm以下)痛みや発熱がない場合は様子をみてもよいことがありますが、悪化する病気もあるため、早めの受診が安心です。

当院では、鼠経ヘルニアをはじめ、感染性の粉瘤にも対応しております。足の付け根にしこりが見つかったら、まずは当院までご相談ください。